第11回 LESAFFRE製パンコンテスト レポート


11回目を迎えた、LESAFFREの製パンコンテスト。世界中で需要が高まっている「LEVAIN(ルヴァン)」をテーマに、「バゲット部門」「フィユタージュ部門」「発酵菓子部門」の3部門で開催されました。
6月4日、日仏商事の東京事務所で行われた最終審査では、最終選考に残った出場者が作品を持参。
審査では、作品の試食に加えて参加者のプレゼンテーションも行われました。プレゼン後の質疑応答になると、「なぜルヴァンを2種類使用したのか」「イーストの使用量が多い理由は何か」「他の方法はテストしたのか」など、レシピに関する質問が次々と審査員から挙がりました。中には、成型や焼成時間に関して具体的なアドバイスもあり、作品のブラッシュアップにもつながる有意義な時間となりました。

■最優秀賞
株式会社ドンク(富山大和店)
藤本 祥一郎氏

「Baguette Ordinaire」

最優秀賞に輝いたのは「Baguette Ordinaire」。お客さまにはルヴァンのパンを身近に感じていただき、作り手にはルヴァンの可能性や面白さを感じてもらいたいという願いが込められた作品です。噛むほどに小麦の旨みとルヴァンの風味が感じられる、まさにお手本のような一品です。レシピの特徴としては、フレキシ ルヴァンでポーリッシュ種を作り、通常より多めの水を使用してゆっくり発酵させることで、小麦の旨みとルヴァンの風味が丁寧に引き出されており、そのおいしさは審査員も太鼓判。藤本氏はフレキシ ルヴァンについて、工程の簡易化を可能にしながら、高い品質を安定して確保できる点も大きな魅力だと語られていました。
■LESAFFRE賞
株式会社パレスホテル
大島 陽子氏

「パンドーロ」

ルヴァンの魅力をダイレクトに感じられるよう、フィリングを使用しないイタリアの発酵菓子「パンドーロ」をセレクトされた大島氏。美しい黄金色の生地を口にすると、ルヴァンの爽やかな香りに、バターや卵、バニラといった芳醇な香りが重なり、豊かな余韻が広がります。使用されているのは、LV1サフルヴァンとフレキシ ルヴァン デュラムの2種。それぞれでミルクルヴァンを起こし、ニュアンスの異なる香りと酸味を引き出すことで、複雑味を出されたそうです。さらに焼成後、2日間かけて熟成することで、味わいがさらに複雑で奥行きのあるものに。シンプルでありながら贅沢で、特別な日の発酵菓子というパンドーロ本来の姿を示された作品でした。
■バゲット部門賞
株式会社神戸屋
山本 隆正氏

「Baguette Dorée」

100点以上の応募があったバゲット部門賞に選ばれたのは、山本氏の「Baguette Dorée」。フレキシ ルヴァン デュラムの風味を中心に据え、それと調和するよう歯切れの良いリスドオルとテロワールピュールをブレンドされたそうです。Doréeの名の通り、美しい黄金色に焼き上がったクラストは香ばしく、独特の風味があります。クラムは小麦の旨みがしっかり感じられ、後味はすっきり爽やか。日本の食卓に馴染むよう酸味は控えめにされており、素材ひとつひとつの個性を見事な構成力でまとめられた、クオリティの高いバゲットでした。
■フィユタージュ部門賞
トモニパン
浅井 一浩 氏

「ルヴァン・アンヴォレ(Levain Envolé)」

見た目はカンパーニュそのものですが、切ると繊細な層が顔を見せる「ルヴァン・アンヴォレ(Levain Envolé)」。口に入れるとルヴァンらしい香味と同時に、オレンジの香りと苦味も感じられ、その絶妙なバランスに魅了されます。ルヴァンとイーストの相乗効果により、発酵の奥深さと軽やかな層構造を両立。リーンな生地に伸展性を与えるという難易度の高い問題をクリアし、味わいの面でも高い完成度を感じさせる作品でした。
■発酵菓子部門賞
株式会社ベイクルーズ
矢澤 央(なかば)氏

「Brioche Émotions」

華やかなオレンジの香りと風味が印象的な「Brioche Émotions」。柔らかくしっとりした生地は口どけがよく、ルヴァンの風味も相まって爽やかな後味に仕上がっています。思わずもうひと口、とつい手が伸びるような味わいです。窯伸びや火抜け、食感をよくするために、パートフェルメンテとしてフレキシ ルヴァンを使用したフランスパン生地が活用されており、フレキシ ルヴァンのメリットを十二分に感じられるレシピです。
フランスでは地域ごとに特色のあるブリオッシュがあることを例に挙げ、日本でもブリオッシュのバリエーションを提案したいと抱負を語っておられました。
今回、沢山のご応募をいただいたなかで、最終選考に残られた皆さまの入賞作品のご紹介をさせていただきます。
入賞作品
❑バゲット部門
株式会社パレスホテル 荻野 純平氏
「バゲット・アンシェンヌ」

「ルヴァンを日常へ」をテーマに、日本の食卓に馴染むバゲットを提案された荻野氏。フレキシ ルヴァンは、味に深みを出すためデュラムとライの2種類を併用。本捏ねの工程で添加することでルヴァン特有の香ばしさや風味を出しつつ、酸味を抑えたそうです。酸味がマイルドなため、ルヴァンに馴染みのない方でも食べやすいバゲットに仕上がっています。
株式会社ぐるぐる 栗原 淳平氏
「減塩低温長時間バゲット」

フレキシ ルヴァンを活用することで、減塩しても美味しいバゲットができることを示した「減塩低温長時間バゲット」。塩を1.3%に抑えながら、ルヴァンと低温長時間発酵で小麦の旨みを引き出されたそうで、実際に食べてみると減塩とは思えない旨みと甘みを感じられました。
また栗原氏は、減塩してもしっかり風味や旨みを出せることから、フレキシ ルヴァンの焼き菓子への展開も考えられたとのこと。今回のレシピも然り、ルヴァンのさらなる可能性を感じさせてくれる作品でした。
有限会社ベーカリーハイジ 荒井 真由美氏
「和ルヴァン クラシーク〜国産小麦で引き出す、レトロの旨味〜」

レトロバゲットのもつ芳醇な香りと旨みを、国産小麦で再現したいと考案されたこちらのレシピ。契約農家の国産小麦をベースに、スペルト小麦の素朴で濃い味わい、フレキシ ルヴァンとフルネテロワール コンサントレでフランスの伝統的なパンの風味を加え、再構築されています。日本の農業を応援する持続可能な取り組みという側面もあるそうで、これからの日本の食を考える上でも、大変意味のあるバゲットと言えます。
❑フィユタージュ部門
ブーランジュリー・フリアンド 井澤 一紀氏
「couronne de bonheur(クロンヌ・ドゥ・ボヌール)」

フランス語で「幸せのリース」と名付けられた作品は、ビジュアルはもちろん、味わいも繊細かつ華やか。ルヴァンデュールで引き出されたルヴァンならではのしっかりした風味、同じくフレキシ ルヴァンを使用した抹茶マドレーヌの苦味、フランボワーズの酸味、チョコチップの甘みやダマンドクリームのコクなど、さまざまな味わいがバランスよくまとまった一品です。
有限会社松葉屋 芹澤 友哉氏
「バターとルヴァンのチーズミートフォリアテッラ」

フィユタージュ部門唯一のサレ。ルヴァン特有の乳酸系の香りをバターと合わせ、チーズ風味に仕上げた生地で、フランスの家庭料理アッシ・パルマンティエに着想を得たフィリングを包んであります。生地の層を縦にして成型しているため、ザクザクした歯ごたえも楽しめ、食べ応えも充分。ルヴァンの効果で口どけが良いこともあり、このタイプの生地にありがちな口の中に残るというデメリットもカバーされていて、満足度の高い一品となっています。
株式会社Floraison 髙橋 佳介氏
「クロワッサン バニーユ オ ルヴァン」

ユニークな形と繊細な層に目を奪われる、ルヴァンを使用したクロワッサン。ルサッフル社のルヴァンと自店の自家製発酵種を併用し、独自性が出されています。味に関しては、ルヴァン特有のフルーティーな酸味と、バニラの甘い香りのマリアージュを意識されたとのこと。一口食べると濃厚なバニラの香りが口いっぱいに広がり、鼻へ抜けていきます。見た目の美しさもあり、食べた方にとって忘れられないクロワッサンとなりそうです。
ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ 山根 和(のどか)氏
「しあわせのカフェ・フレーズ・デニッシュ」

今回入賞者の中で最年少の山根氏。出品されたのは、トレンドのいちごのフレーバーコーヒーをヒントにした、甘酸っぱさと苦味が調和する愛らしいデニッシュです。外はサクッと、中はふんわりした食感の生地は、サワー種発酵風味とストロベリーパウダーの効果で味わいは爽やか。さらにコーヒー味のフィリングが合わさることで、心地よさが生まれます。何度も試作を重ね、中でも焼き加減はかなり苦心したポイントだったそうです。審査員からはその焼成についての質問もあり、やり取りの中で焼き方のアドバイスもありました。自身の作品について審査員の意見を直接聞けるのも、コンテストに挑戦するメリットだと感じさせてくれる一コマでした。
❑発酵菓子部門
スターバックスコーヒージャパン株式会社 大津 雄大氏
「四種の実り よもぎのベファーナ」

イタリアの伝統的な発酵菓子「ベファーナ」を、よもぎと甘納豆、黒豆などの和素材で和菓子風にアレンジしたユニークな作品。穏やかな酸味と軽やかな口どけのあと、よもぎの香りがふわりと広がり、イタリアの伝統菓子でありながらどこか懐かしさを感じさせてくれます。全国に店舗を展開されていることから、冷凍で流通させることを視野に入れ、ルサッフル社のイビスシリーズの生地改良剤を2種類配合して品質を維持されている点も、他にはない特徴です。
敷島製パン株式会社 前田 侑里氏
「大人のクロワッサン バゲット ショコラ」

チョコレートの酸味やコクをより強調するための手段として、ルヴァンを活用された前田氏。チョコレートを使用したパンというと甘いものが多い中、カカオの苦味や酸味、そして本格的なルヴァンの風味を楽しめるこちらの作品は、まさに大人向けのリッチな一品。また今回のレシピは、自社で取り組まれている、国産小麦を使用した本格的な欧風パンシリーズの一環でもあるそうです。本格的なルヴァンのパンを近くのスーパーで、しかも豊富なバリエーションから選べるようになるのは嬉しいですね。
株式会社カフェヨシノ 城所 聡 氏
「パネットーネ」

城所氏自身、深い思い入れがあるというパネットーネ。日本でも徐々に注目を集めてきていることから、今後の広がりへの期待も込めて開発されたそうです。今回のレシピでは、リヴェンドLV1 サフルヴァンにサフ セミドライイーストを合わせ、現在自店で使用されている自家製ルヴァンに近づけたとのこと。今後の多店舗展開を視野に入れ、オペレーションの簡略化にもつながることが期待されます。爽やかな酸味とふわっふわの食感は、日本のお客さまにも広く受け入れられるのではないでしょうか。
ルサッフル社 テクニカルベーカリーアドバイザー、フィリップ・カンタン氏のコメント

―今回、テクニカルアドバイザーとして日本を担当されて初めてのコンテストとなりましたが、いかがでしたか?
全体的にレベルが高く、入賞された方の作品はどれも大変美味しかったですね。日本のパン職人の方は、味や香りへの探究心も強い。高い向上心を持ってパンと向き合っていると感じました。
―コンテストの入賞者に期待されることはありますか?
「LEVAIN(ルヴァン)」は、風味はもちろん健康の面からも世界で注目されています。今回応募されたパンを食べたのは私たち審査員と関係者だけでしたので、次は日本中のお客さまにLEVAIN(ルヴァン)の美味しさを届けて欲しいと思います。
ルサッフル社のルヴァンで、パンをもっと美味しく、もっと自由に

「LEVAIN(ルヴァン)」をテーマに、作り手の技とセンス、そして個性が存分に発揮された今回のコンテスト。テーマに加え、商品化を前提とした審査であったことから、それぞれの店舗やキッチン、工場における再現性も重要なポイントとなりました。ルサッフル社のルヴァン製品(リヴェンドシリーズ)を活用することで一定の品質は確保できますが、使用量やイーストとの組み合わせ、生地改良剤の併用や工程の工夫によって、さらに再現性をより高めていることが、質疑応答を通して感じられました。また、ネットショップでの販売や、冷凍流通を前提としたレシピを開発された方もおり、おいしいパンをより多くの皆さまに楽しんでいただきたいという思いが伝わってきました。
➣リヴェンド(ルヴァン)詳細はこちらから
最後になりましたが、受賞者の皆さまに心よりお祝い申し上げます。
今回出品されたパンが店頭に並ぶ日を心より楽しみにしております。
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さらに詳細な作品のレシピは、後日LESAFFREブランドサイト内の「saflog(サフログ)」で紹介される予定です。
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