夏が変われば、売り方も変わる ―朝食、おやつ、手土産。酷暑のなかで生まれる新しい需要とは―

夏が変われば、売り方も変わる ―朝食、おやつ、手土産。酷暑のなかで生まれる新しい需要とは―
夏はこれまでも、製パン・製菓業界にとって工夫が求められる季節でした。冷たい商品や爽やかな味わい、夏限定メニューなど、各店がさまざまな提案を行いながら需要を喚起してきました。

しかし近年その前提は少しずつ変わりつつあります。
35℃を超える猛暑日が当たり前となり、地域によっては40℃近い気温を記録する地域も見られるようになりました。外出そのものを控える消費者も増え「暑いから出かけない」という心理が生まれています。

かつて夏需要といえば、冷たいスイーツやドリンクが中心でした。
しかし今は、商品そのものだけでなく、生活時間帯や購買シーンにも変化が見られます。
外食産業では朝食メニューの強化が進み、朝の時間帯の需要獲得に力を入れる企業も増えています。これは単なるメニュー戦略ではなく、「日中の暑さを避けて行動する」という消費者行動の変化への対応とも言えるでしょう。

夏がかわれば、売り方も変わるー朝食、おやつ、手土産。酷暑のなかで生まれる新しい需要とはー

製パン・製菓業界においても、この変化は新たな需要創造のヒントになります。

同じ酷暑の環境下でも、売上を維持したり、新たな需要を生み出したりしている店舗があります。その違いは、商品力だけではありません。商品をどのように食べてもらうか。どのようなシーンで楽しんでもらうか。そして、どのような価値として伝えるか。

つまり、これから求められるのは「商品を売る」ことに加えて、「需要を提案する」ことなのかもしれません。酷暑時代の売場づくりに求められているのは、夏向け商品を増やすことだけではなく、暑さの中で生まれる新しい生活シーンを見つけ出し、提案する視点です。

朝食需要

朝食需要

―「食べたくない朝」を「食べられる朝」へ―

夏になると食欲が落ちる。これは多くの消費者が感じていることです。特に朝は、暑さによる疲労や寝苦しさの影響もあり、「しっかり食べたい」というより、「軽く済ませたい」という意識が強くなります。

しかし裏を返せば、「食べやすい朝食」への需要は確実に存在しています。近年は、冷やして食べるクリームパンやデニッシュ、フルーツを使った軽やかな商品など、「暑い朝でも食べられる」という価値を訴求する商品が増えています。

重要なのは、「パンを売ること」ではなく、「暑い朝でも無理なく食べられる朝食時間」を提案することです。朝食需要の創造は、夏の売上対策だけでなく、来店動機づくりにもつながります。

おやつ需要

おやつ需要

―「冷たいスイーツ」ではなく「涼を楽しむ時間」の提案―

近年の製菓業界では、「冷やしておいしい」「凍らせてもおいしい」という提案が急速に広がっています。これは単なる商品開発ではありません。消費者が求めているのは、冷たい商品そのものではなく、「暑さを忘れる時間」だからです。

例えば、冷やしクリームパン、半解凍カヌレ、フローズンデザートといった商品は、食べ方を変えることで新しい価値を生み出しています。

これまでのおやつ需要が「お腹を満たす」ものであったとすれば、これからのおやつ需要は、「気分をリフレッシュする」「涼しさを感じる」といった体験型の需要へ変化しているのかもしれません。

手土産需要

手土産需要

―「モノを贈る」から「季節を贈る」へ―

夏休みやお盆は、帰省や人が集まる機会が増える季節です。

そうした場面では手土産需要も高まります。しかし酷暑の影響により、従来の手土産選びにも変化が見られます。日持ちすること。持ち運びしやすいこと。見た目に涼しさを感じられること。こうした条件が重視されるようになっています。

最近では、フルーツを活かしたスイーツや冷涼感のある焼菓子、爽やかな風味の商品などが支持を集めています。手土産として求められているのは、商品そのものではなく、「夏らしさ」や「季節感」という体験価値なのです。だからこそ売場では、商品の特徴だけでなく、「帰省のお土産に」「家族団らんのひとときに」といったシーン提案が重要になります。

あえて休むという選択

あえて休むという選択

―未来の需要を育てる時間―

酷暑による来店頻度の低下や売上減少は、多くの店舗にとって悩ましい課題です。しかし一方で、この時期を「売上が落ちる期間」とだけ捉えるのではなく、「次の需要をつくる準備期間」と考える店舗もあります。

例えば、秋の栗などを使った新商品の開発、クリスマス商戦に向けた試作や技術習得、業界セミナーや講習会への参加などです。売上が落ち着く時期だからこそ、普段は十分に時間を割けない学びや商品開発に取り組む。そうした積み重ねが、今後の売上や新たな提案力につながっていきます。

需要創出とは、今ある需要を獲得することだけではありません。未来の需要を見据えて準備することもまた、重要な需要創造のひとつなのかもしれません。

活用事例

朝食需要

ボワロンのフルーツピューレや、エリクシア、エミール・ヴェルジョワといったドリンクを活用することで、暑い朝でも楽しみやすい軽やかな朝食提案につながります。

◇おやつ需要

ディアマルテリアの大麦麦芽100%の粉末状モルトエキス製品のディアチョコは、ココアやチョコレートの風味増強やカカオの代替としての活用や、ボワロンのフルーツピューレ、CSMのフィリングやミックス類を活用することで、既存商品のアレンジや「冷やしておいしい」「凍らせておいしい」提案の幅を広げることができます。

◇手土産需要

メゾン・アンドレジィのフルーツ加工品やカネッタの缶ワインは、「季節感を贈る」夏らしい手土産提案に活用できます。

まとめ

夏が変われば、需要の形も変わる

猛暑は一時的な現象ではなく、これからの夏の前提条件になっていくかもしれません。そうした環境のなかで求められるのは、夏商品を増やすことや、値引きを強化することだけではありません。
消費者の生活や気持ちの変化を理解し、新たな需要を見つけ出すことです。

  • 朝食需要。
  • おやつ需要。
  • 手土産需要。
  • そして、未来の需要を育てる準備期間。

同じ商品であっても、食べ方やシーンを変えることで、新しい価値が生まれます。さらに、売上が落ち着く時期を学びや商品開発の時間に変えることで、次の季節に向けた提案力を高めることもできます。

日仏商事でも、レ・ヴェルジェ・ボワロンのフルーツピューレを活用した爽やかなメニュー提案、CSMの製菓・製パン商品。ディアマルテリア・イタリアーナのカカオ代替え可能商品の活用。エリクシアエミール ヴェルジョワによる季節感あるドリンク提案などを通じて、夏ならではの売場づくりや商品価値向上をサポートしています。

商品を変えるだけではなく、価値の伝え方を変える。
その視点こそが、これからの夏商戦を支える大きなヒントになるのかもしれません。

また、日仏商事では研究開発課による講習会も開催しております。新商品開発や技術習得のヒントとしてご活用いただけますと幸いです。